化身 ～真の愛の姿～

今までずっと言っていなかった言葉があった
そうだと思えなかったから言わなかった

奴隷であるということ
すべてを捧げるということ

そう思おうとして思うのではなく
自然とそうなんだと思っている自分に気がついた

だから
言おうと思った
言わされるのではなく
自分の言葉で




奥深くまで刺し貫かれた
苦痛と快楽の中で

私を見下ろす瞳を
それでもしっかりと捕えて
自然とその言葉は
喘ぎの合間から漏れ出た



「わたしはあなたの奴隷です」



いらえは短かった
そんなことはもうわかっていると
言っているようだった

そのまま
子宮が口から出るかと思うほど
突き上げられ
共に果てた

その後弦影は
そんな言葉はもう必要ないねと言った

そのことは逢瀬を重ねるごとに
身をもって感じていた

言葉じゃなく
そこにいるだけで
存在を感じるだけで
弦影は私を支配し
私はそれに従う

でもそれでも
最後の一言を
弦影に捧げたかった


おそらく
一生に一度の言葉になるだろう

心から湧き出た
最初で最後の言葉…